『イノセントデイズ』『嫌われる勇気』感想
こんばんは。
「読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました」
「少女はなぜ死刑囚になったのか」
「極限の孤独に、心が激震する」
という、文庫の帯のフレーズに興味がわき、買って読んでみました。
上記のようなキャッチフレーズから、救いようのない後味悪い系なのだろう察しました。読後に落ち込む系は苦手なのでいつもは敬遠しています。キャッチフレーズを考えた人のように、3日間寝込むことになったら日常生活に支障をきたすからです。
しかし、私は今、有給期間中で3日間寝込んでも大丈夫な状況です。こんな機会にしか読めないから読んじゃお、ということで一気読みしました。
【あらすじ】
母子を放火殺人した罪で死刑を宣告された田中雪乃さん。彼女が死刑になるまでの半生を、関わった人たちの追想という形式で描いていきます。雪乃さんの人物像、なぜ死刑囚になったのかが解き明かされていきます。
【感想】
文庫の帯に書いてあるフレーズによって、
「ハッピーエンドではありませんよ」
とネタバレされているのでそのつもりで読んだせいか、
結末に対して、寝込むほどの衝撃はありませんでした。
しかし、驚愕だったのは雪乃さんの人物像です。
思わず雪乃さんに情が沸いてしてしまったので、そうならないと分かりつつも、
ハッピーエンドになってくれないかと願いながら読みました。
ただ絶望するだけではなく、色々と考えさせてくれる小説です。
是非読んでみてください。
【雪乃さんにおすすめしたい本】
この小説では「必要」という言葉が頻出します。
おそらくこの小説の大きなテーマの一つとして考えることができます。
雪乃さんに限らず、この小説の登場人物たちは「誰かに必要とされること」を求め、自分の存在意義を自分自身に問いかけ続けています。
そんな孤独な彼らに(特に雪乃さんに)以前読んだ本で、おすすめしたい本が思い浮かんだので、紹介します。
岸見一郎さん、古賀史健さんの『嫌われる勇気』です。
アドラー心理学という思想を日本に広げた本です。
自己啓発本というジャンルは胡散臭いと思ってしまうことが多いのですが、
この本は説得力があり面白いので好きです。
この本の中で、
「人は、自分には価値があると思えた時にだけ、勇気を持てる」
「誰かの役に立っている。それゆえわたしには生きる価値がある」
という一節があります。
貢献感、所属感、自己肯定感、承認欲求、それらは一体なんなのか、
どうすれば得られるのか、そもそも得る必要があるのかなどを分かりやすく解説しています。
その考え方はどれも斬新です。
心理学というくらいなので、学問であり、科学であります。
雪乃さんがこの本を読んでいたら違う結末があったのではないかと思わせるくらい、説得力があります。
雪乃さんの孤独も計り知れないほど大きいものですが、アドラー心理学も負けないくらいパワーを感じます。
僕はこの本に納得しましたが、それは悩みが小さいからなのかなとも思ってしまいます。しかし、雪乃さんみたいな人を救うために、100年近くも前にアドラーさんが本気で考えた心理学です。一読の価値はあると思います。