『下町ロケット ゴースト』小説感想※ちょびっとネタバレ要素あります
こんにちは。
下町ロケットの第三弾『下町ロケット ゴースト』読み終わりました。
【あらすじ】
東京都大田区にある佃製作所は小さい下町の町工場です。
『下町ロケット』シリーズの第一段、第二段で描かれているように、小さいながらも確かな技術力で結果を残してきた中小企業です。
第三弾である今回の『下町ロケット ゴースト』は、佃製作所が大口取引先の企業から契約を切られてしまうところから始まります。
窮地を脱しようと、社長の佃はあるアイディアを思いつきます。それは、トランスミッションという車の部品の製造に参入することです。
そして佃はあるベンチャー企業と出会います。その企業の名前は「ギアゴースト」。
ギアゴーストを気に入り、なんとか手を組みたい佃社長。コンペで採用を勝ち取り、ギアゴーストとの取引関係を創り上げます。しかし、ギアゴーストがとある企業に特許訴訟を起こされてしまい……。
【ビジネスバトルがリアル!】
今回の小説も池井戸潤さんらしく、熱い物語でした。企業の経営者や幹部など、経営の上流の人たちの葛藤や苦悩、それを乗り越える努力の姿勢などを小説を通して体験できることが池井戸さんの魅力だと思います。今回も、佃航平社長をはじめ、様々な登場人物のビジネス人生が描かれています。
【悪役が憎たらしい!】
また、池井戸さんの魅力の一つとして「悪役の悪役らしさ」も挙げられると感じます。主人公たちにとって害である存在、つまり悪役の登場人物たちの描き方がうまいと感じます。読んでいて本当に「こいつを倒して欲しい!!」と思わされるような憎たらしい悪役なんですよね。主人公サイドを追い詰める手口が巧妙で、「こんなピンチ覆せるのかな」と不安になってくるくらいです。だからこそ、敵を倒した時の快感はとても大きいのです。
【佃航平が熱い!】
主人公の佃社長の人柄にすごく好感が持てます。あの手この手で生き残ろうとする競合企業たちからの攻撃を受けつつも、立ち向かっていく姿がかっこいいです。中には裏切りや騙し、違法な圧力など狡い手を使ってくる敵も多いです。ビジネスの世界は綺麗事を言っていても生き残れない厳しい世界だと思います。しかし、佃は「たしかにビジネスには戦略は必要だと思うんだが、それはフェアじゃなきゃいけない」と言って真っ直ぐに立ち向かいます。汚い大人たちに対して正直に立ち向かう、愚直な町工場のオヤジに対して部下たちは「商売下手」だと笑いながら、本心では信頼しているのが伝わります。
【秋には第四段発売決定!】
早くも第四段の刊行が発表されています。今回は内容的に、第四段の『下町ロケット ヤタガラス』の前編となるような話しで、終わり方も「後編に続く」的な終わり方でした。
秋が楽しみですね!!!