ピカデリーの読書部屋

「この本読んでみて!」をお伝えする日記です。

『すごい読書術』感想

こんにちは。

『すごい読書術』という本を読みました。

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ざっくり言うと、本を速く読む方法と、読んだ本の内容を頭に記憶させ、自分の能力として身につける方法を解説している本です。

 

正直にいうと、この本は僕の人生を変えるのではないかと思っています。

それくらい自分に影響を与えているということを感じています。

 

僕は本を読むのが遅く、400ページくらいの本だと大体10時間くらいかかります。100ページ読むのに、2時間以上かかっていると言うことです。ビジネス本や啓発系の本だと、途中で飽きてしまって読み終わらないだなんてことも多いです。

 

この本は全部で約200ページくらいなので、今までの僕だと4時間、5時間はかかってしまうところでした。しかし、この本を読み始めてすぐに速読の意識が身につき、なんと1時間半で読み終えてしまいました。そしてその後1時間をかけて2回目も読み終えてしまいました。

ものすごい即効性のある本だと言えますよね。

 

本を読むのが遅い人がなぜ遅いのかを解説しているのですが、自分に当てはまりすぎていて、それをなくすよう意識することで、すぐに改善することができました。

例を挙げると、本を読むのが遅い人は「頭の中で音読してしまっている」「読みながら色々と考えてしまう」などです。

今までの僕は、本の内容を頭に少しでも多く残せるように、ゆっくり読み、色々と考えながら読んでいました。しかし、この本は「ゆっくり読めば記憶に残るというわけではない」というようなことを述べています。たしかに!と思いました。

 

この本を読んだことにより、僕に本を速く読むコツが身につこうとしています。

これから、本を読む量が増えるだけでなく、途中で飽きてしまう本も少なくなり、色々な知識が身についていくのではないかとワクワクしています。

 

ただし、速く読めばいいというものでもないということは忘れないようにしたいと思います。

著名な作家さんで、「1ページを読み終わるのに丸1日かかることもある」という人がいたり、「速読はクソ」みたいなことを言ったりしている作家さんをみたこともあります。

速ければいいというわけでもなく、遅ければいいというわけでもありません。目的に応じた読み方を極めていきたいです。

 

 

『下町ロケット ゴースト』小説感想※ちょびっとネタバレ要素あります

こんにちは。

下町ロケットの第三弾『下町ロケット ゴースト』読み終わりました。

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【あらすじ】

東京都大田区にある佃製作所は小さい下町の町工場です。

下町ロケット』シリーズの第一段、第二段で描かれているように、小さいながらも確かな技術力で結果を残してきた中小企業です。

第三弾である今回の『下町ロケット ゴースト』は、佃製作所が大口取引先の企業から契約を切られてしまうところから始まります。

窮地を脱しようと、社長の佃はあるアイディアを思いつきます。それは、トランスミッションという車の部品の製造に参入することです。

そして佃はあるベンチャー企業と出会います。その企業の名前は「ギアゴースト」。

アゴーストを気に入り、なんとか手を組みたい佃社長。コンペで採用を勝ち取り、ギアゴーストとの取引関係を創り上げます。しかし、ギアゴーストがとある企業に特許訴訟を起こされてしまい……。

 

【ビジネスバトルがリアル!】

  今回の小説も池井戸潤さんらしく、熱い物語でした。企業の経営者や幹部など、経営の上流の人たちの葛藤や苦悩、それを乗り越える努力の姿勢などを小説を通して体験できることが池井戸さんの魅力だと思います。今回も、佃航平社長をはじめ、様々な登場人物のビジネス人生が描かれています。

 

【悪役が憎たらしい!】

また、池井戸さんの魅力の一つとして「悪役の悪役らしさ」も挙げられると感じます。主人公たちにとって害である存在、つまり悪役の登場人物たちの描き方がうまいと感じます。読んでいて本当に「こいつを倒して欲しい!!」と思わされるような憎たらしい悪役なんですよね。主人公サイドを追い詰める手口が巧妙で、「こんなピンチ覆せるのかな」と不安になってくるくらいです。だからこそ、敵を倒した時の快感はとても大きいのです。

 

【佃航平が熱い!】

主人公の佃社長の人柄にすごく好感が持てます。あの手この手で生き残ろうとする競合企業たちからの攻撃を受けつつも、立ち向かっていく姿がかっこいいです。中には裏切りや騙し、違法な圧力など狡い手を使ってくる敵も多いです。ビジネスの世界は綺麗事を言っていても生き残れない厳しい世界だと思います。しかし、佃は「たしかにビジネスには戦略は必要だと思うんだが、それはフェアじゃなきゃいけない」と言って真っ直ぐに立ち向かいます。汚い大人たちに対して正直に立ち向かう、愚直な町工場のオヤジに対して部下たちは「商売下手」だと笑いながら、本心では信頼しているのが伝わります。

 

【秋には第四段発売決定!】

早くも第四段の刊行が発表されています。今回は内容的に、第四段の『下町ロケット ヤタガラス』の前編となるような話しで、終わり方も「後編に続く」的な終わり方でした。

 

秋が楽しみですね!!!

『人魚の眠る家』小説感想

こんにちは。

『人魚の眠る家』読みました。

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本屋さんで目立つように飾ってありました。

さすが大人気作家さんですね。

本屋さんの売り場には、東野圭吾さんの「この物語を書いていていいのか、今でも自分に問い続けています」

というようなコメントも掲載されていました。(うろ覚えなので細かいところ間違えているかもしれません)

 

【あらすじ】

夫の浮気が原因で仮面夫婦になってしまった二人の夫婦の娘がある日プールで事故にあい、脳に深刻なダメージを負ってしまいます。

いわゆる植物状態になってしまった娘に対し、母がとる行動が狂気とも言える愛として描かれています。

 

【感想】

テーマがすごく重いものです。

大切な人が脳死状態になってしまったら、なんてことを今まで考えたこともありませんでしたが、考えさせられる作品となっています。

死とは何か、よく考えてみるとその定義も曖昧なんだなと思います。

僕はミステリ小説が好きです。ミステリの作品中では「死」は頻繁に扱われますが、この『人魚の眠る家』では「死」に対して全く新しい側面から焦点を当てられて描かれています。

色々と考えさせられ、最後にはしっかりと感動もできる作品です。

 

『十角館の殺人』小説感想

こんばんは。

東京に引っ越しして来ました。

生活リズムが変わってあまり本を読んでいなかったので、

ブログを更新していませんでした。

そんな中、空いてる時間を見つけて、『十角館の殺人』読みました。

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【あらすじ】

十角形の奇妙な館が建つ孤島、角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。

館の中で次々と人が死んでいく連続殺人が起こります。

十角館でかつて起きた事件との因果関係、ミステリ研との関係。

次々と謎が解き明かされていきます。

 

【感想】

私が生まれる前に書かれた小説になります。

この小説以降の推理小説を日本では「新本格」と呼ぶそうです。

まさに時代を作った小説なんですね。

この小説での事件はいわゆる「クローズドサークル」というものですね。

推理小説では定番の設定だと思います。

昔の小説だし、今出てる推理小説の元祖みたいな立ち位置の小説なので、

今の自分が読んでも面白くないかな、と思って読み始めましたが、

普通に面白かったです。

衝撃の1行があるという噂を聞いていましたが、まさに衝撃の1行でした。

本当に、推理小説って様々なパターンで私を驚かしてくれるな、と改めて実感しています。

推理小説初心者の方でも十分楽しめる作品だと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

『悪いものが、きませんように』小説感想。

こんばんは。

『悪いものが、来ませんように』

という小説を読みました。

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帯に「絶対騙されて読み返す」と書いてあったので、「絶対騙されないぞ!」と意気込んで読んだのですが、案の定騙されました。

 

騙されるって分かっていたので構えすぎてしまいました。

にも関わらず、改めて読み返すと、散りばめられた伏線の多さにびっくりしました。

こんなに構えていたのにこれが伏線だったと気付けなかったとは!

と、びっくりしました。

 

どんでん返しに騙されたい人におすすめです。

 

 

 

『グランドマンション』叙述トリックの詰め合わせ!小説感想

こんにちは。

ピカデリーです。

『グランドマンション』以前に読んだので紹介します。

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叙述トリックの名手と呼ばれている折原一さんの短編集です。

叙述トリックとは、文章の書き方で読者をミスリードしたり、曖昧な表現をしたりして読み手をだますテクニックです。

例えば、「男だと思って読んでたらその登場人物は実は女だった」「白人だと思ってたら黒人だった」「現在の話かと思ってたら過去の話だった」などのように、ラストに大どんでん返しの種明かしがされたときに読者がびっくりするというようなトリックです。

 

叙述トリックの醍醐味はラストの謎の解き明かしシーンなのですが、200ページや400ページくらいある小説だとラストまで長く感じてしまうんです。

もちろん、トリックだけが作品の魅力であるというわけではありませんが、常に疑いの目で登場人物たちを見てしまうので、感情移入も難しいように感じます。

 

『グランドマンション』はそんな人におすすめの作品です。一つ一つの話が短いということは、謎の提示と解決が短い間隔でポンポン繰り返されるわけです。

楽しいとこがたくさんあるということですね。

 

僕はパフェが好きです。特に下の方にたまってるコーンフレークが好きです。

通常は食べ進めていって最後にたどり着くことができるコーンフレークが、何層にも分かれて度々出てくる。

そんな小説です。(?)

 

下手な比喩すみません。

 

叙述トリックで有名な作品の中には、そもそもそれが叙述トリックであるかどうか最後まで分からない作品も多いと思います。

しかし、折原一さんの作品は、作者名をみて読者が「これは叙述トリックだ!」と疑って読んでしまうのでハードルも高く設定されているはずです。

それでも飽きない短編がいくつも詰まっていてこの本は凄いです。

推理力に自信がある人も読んだことがなかったら読んでみて下さい。

 

 

 

 

『イノセントデイズ』『嫌われる勇気』感想

こんばんは。

「読後、あまりの衝撃で3日ほど寝込みました」

「少女はなぜ死刑囚になったのか」

「極限の孤独に、心が激震する」

という、文庫の帯のフレーズに興味がわき、買って読んでみました。

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上記のようなキャッチフレーズから、救いようのない後味悪い系なのだろう察しました。読後に落ち込む系は苦手なのでいつもは敬遠しています。キャッチフレーズを考えた人のように、3日間寝込むことになったら日常生活に支障をきたすからです。

しかし、私は今、有給期間中で3日間寝込んでも大丈夫な状況です。こんな機会にしか読めないから読んじゃお、ということで一気読みしました。

 

【あらすじ】

母子を放火殺人した罪で死刑を宣告された田中雪乃さん。彼女が死刑になるまでの半生を、関わった人たちの追想という形式で描いていきます。雪乃さんの人物像、なぜ死刑囚になったのかが解き明かされていきます。

 

【感想】

文庫の帯に書いてあるフレーズによって、

「ハッピーエンドではありませんよ」

とネタバレされているのでそのつもりで読んだせいか、

結末に対して、寝込むほどの衝撃はありませんでした。

しかし、驚愕だったのは雪乃さんの人物像です。

思わず雪乃さんに情が沸いてしてしまったので、そうならないと分かりつつも、

ハッピーエンドになってくれないかと願いながら読みました。

ただ絶望するだけではなく、色々と考えさせてくれる小説です。

是非読んでみてください。

 

【雪乃さんにおすすめしたい本】

この小説では「必要」という言葉が頻出します。

おそらくこの小説の大きなテーマの一つとして考えることができます。

雪乃さんに限らず、この小説の登場人物たちは「誰かに必要とされること」を求め、自分の存在意義を自分自身に問いかけ続けています。

そんな孤独な彼らに(特に雪乃さんに)以前読んだ本で、おすすめしたい本が思い浮かんだので、紹介します。

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岸見一郎さん、古賀史健さんの『嫌われる勇気』です。

アドラー心理学という思想を日本に広げた本です。

自己啓発本というジャンルは胡散臭いと思ってしまうことが多いのですが、

この本は説得力があり面白いので好きです。

 

この本の中で、

「人は、自分には価値があると思えた時にだけ、勇気を持てる」

「誰かの役に立っている。それゆえわたしには生きる価値がある」

という一節があります。

 

貢献感、所属感、自己肯定感、承認欲求、それらは一体なんなのか、

どうすれば得られるのか、そもそも得る必要があるのかなどを分かりやすく解説しています。

その考え方はどれも斬新です。

 

心理学というくらいなので、学問であり、科学であります。

雪乃さんがこの本を読んでいたら違う結末があったのではないかと思わせるくらい、説得力があります。

雪乃さんの孤独も計り知れないほど大きいものですが、アドラー心理学も負けないくらいパワーを感じます。

 

僕はこの本に納得しましたが、それは悩みが小さいからなのかなとも思ってしまいます。しかし、雪乃さんみたいな人を救うために、100年近くも前にアドラーさんが本気で考えた心理学です。一読の価値はあると思います。